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尿酸が高い。血圧に良くないと指摘されたが(高血圧治療中)(質問)

高尿酸血症は高血圧の新規発症の危険因子であることは、種々の研究で示されています。また高尿酸血症が高血圧に高頻度で合併することは周知されています。事実、健診で未治療の高血圧の男性では約17%が高尿酸血症を合併していると報告されており、高血圧を診療する外来では男性で約48%、女性で約9%の頻度で高尿酸血症を合併していたとの報告があります。
高血圧に高尿酸血症が合併しやすい病態として、メタボリックシンドロームに代表される代謝の異常があげられます。メタボによる肥満やインスリン抵抗性の存在は、体内での尿酸の産生の亢進および腎尿細管での尿酸排泄低下により、高尿酸血症をもたらします。
この場合、腎尿細管ではナトリウムの吸収の亢進がおこなわれ、それにより体液等の増加と交感神経(自律神経の中の)の活動亢進をもたらし、血圧上昇の要因となるのです。また高血圧に伴う腎機能の低下や利尿薬の服用も、体外への尿酸排泄低下を伴った高尿酸血症の原因となります。したがって高尿酸血症を是正することは必要ですし、また尿酸低下により有意な降圧が得られることは種々の研究で示されています。
高尿酸血症は、血清尿酸値が7mg/dLを超える場合に診断されます。そしてその場合、生活習慣の修正による血清尿酸値の低下が推奨されます。具体的には、摂取エネルギーの適正化による肥満の是正、プリン体・果糖の摂取制限、飲酒制限、習慣的な有酸素運動の施行などです。なかでも多く認められる肥満の是正と飲酒の制限は重点的におこなわれるべきです。またプリン体を多く含む食品の過剰摂取により尿のPHが低下し、尿酸の尿の溶解度が上がるため、野菜などのアルカリ性の食品の摂取は大切です。さらに尿酸の尿中の飽和度を減少させるために、尿量を2000mL/日以上を目標とする十分な水分の摂取は推奨されます。これらの生活習慣の修正をおこない、かつ血清尿酸値が8mg/dL以上の高血圧の人は、尿酸降下薬の服用の開始が考慮されます。管理目標値は6.0mg/dL以下です。
腎機能障害のある人では、尿酸降下薬の服用により腎機能低下が抑制されることが示されています。高血圧を合併した高尿酸血症の人は、多くの場合体外への尿酸の排泄低下が多いため、尿酸降下薬としては尿酸排泄を促進する薬を服用していただくことが有用です。ただし、上記のように尿のアルカリ化が必要なため、食事以外にアルカリ化をはかる薬を服用していただく場合もあります。 高尿酸血症を合併した高血圧の人の降圧薬は、尿酸代謝に配慮した降圧薬が選択される必要があります。降圧薬には血液中の尿酸を上昇、あるいは上昇させる可能性のある薬が存在するからです(よい降圧薬の中にも)。このことは降圧を担当する医師は充分に理解しているはずです。
以上、高尿酸血症合併高血圧について説明しました。ご質問の方、質問のとおりです。尿酸を適正に管理してください。

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