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健診で小さな脳梗塞があると指摘された。自覚症状はない、どういうことか?(質問)

ご質問の人は、健診でのMRIなどの画像診断で無症候性脳梗塞を指摘されたと考えられます。無症候性脳梗塞の多くは、脳の深部の小さな血管(穿通枝と呼ばれる小動脈)の閉塞などで生じる直径15mm以下のラクナ梗塞と呼ばれるものです。病巣に該当する神経症候や自覚症状は認めません。
無症候性脳梗塞は脳卒中発症のリスクとなります。また、脳卒中再発のリスクとなるとの報告もあります。また、無症候性脳梗塞を有する人はそうでない人と比べ、認知機能障害の発症が有意に多く、その発症の高リスクと示されています。その他、無症候性脳梗塞は死亡のリスクを高めたり、肺炎を合併しやすくしたりするとの報告があり、慢性腎臓病(CKD)を有する人では、腎機能の低下に関与するとの研究結果が示されています。日常歩行では、歩行速度や1分間のステップ数を低下させ、歩幅を短くしたとの報告もあります。
無症候性脳梗塞発症の最大の危険因子は高血圧です。したがって血圧管理は重要であり、わが国では血圧を130/80mmHg未満に管理することが推奨されています。(無症候性脳梗塞を有する人の脳卒中発症予防にも) 降圧のための服用により無症候性脳梗塞の数の増加を抑制することが示されている降圧薬はあります。
心房細動は無症候性脳梗塞のリスクとなります。心房細動は認知機能障害のリスクでもあり、したがってその管理・コントロールは大切となります。メタボリックシンドローム、CKD、総頚動脈の動脈硬化の強度も無症候性脳梗塞のリスクです。冠動脈疾患、睡眠時無呼吸症候群と無症候性脳梗塞との関連も指摘されています。
したがって、ご質問の人は上記に記載した病態を発症することもありうるため、病気(特に上記がある場合)をお持ちの場合、良好な状態を保つようにしっかり治療されてください。

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