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慢性腎臓病  睡眠呼吸障害との関連・治療

慢性腎臓病(CKD)は糸球体濾過量(GFR)が60ml/分/1.73m²未満あるいは、アルブミン尿の存在が3ヵ月以上持続することで診断されます。原疾患(Cause:C)、GFR(G)、蛋白尿・アルブミン尿(Albuminuria:A)に基づくCGA分類によりCKD重症度はG1からG5に分類され、GFRが15ml/分/1.73m²未満のステージG5では末期腎不全(ESKD)と定義されます。CKDと睡眠呼吸障害(SDB)は互いに高率に合併します。CKD患者におけるSDBの合併は予後不良因子であることが示唆されており、CKDの人におけるSDBの診断と治療は重要な位置づけと考えられています。
CKDの人におけるSDBを合併する頻度は25〜70%とされ、CKDのステージの進行に伴いSDBを合併する頻度やその重症度は高くなります。CKDに合併するSDBの主体は閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)です。(ESKDの人では中枢性睡眠時無呼吸(CSA)を認めることはある)CKDの人は非CKDの人よりも、いびきや早朝の頭痛といったSDBの症状が出現しにくいとの報告があります。一方、日中の易疲労感や熟睡感の欠如などのSDBの症状はCKD自体やほかの併存症の症状と重なる場合が多いため、CKDの人が訴える症状がSDB由来かどうかうを明確に判断することは難しく、そのためSDBの診断のためのスクリーニング検査(PSG 終夜睡眠ポリグラフ検査)が重要となります。またCKDの人が睡眠に関連する症状や治療抵抗性高血圧を認めた場合などでは、SDBが強く疑われるため、PSG検査が推奨されます。SDBのCKDに対する影響をみると、OSAの存在はCKDの発症および経時的なGFR低下に関する独立したリスク因子であり、とくに夜間の低酸素は腎臓の障害の進行と強く関連します。
さらにSDBが重症であるほどCKDの人のアルブミン尿を有する割合は増加し、AHI(無呼吸低呼吸指数)と尿蛋白とは正の相関が認められます。またSDBの人における夜間の拡張期血圧の変動がCKDに影響することも示唆されています。つぎにCKDの人がSDBを合併した場合の生命予後について考えると、その生命予後は悪化につながることが示唆されています。つまりSDBの存在はCKDの人の生命予後を悪化し(1.47倍のリスク)維持透析中のESKDの人では心血管疾患の発生を増加させます。(2.45倍のリスク)またはステージG4、G5のCKDの人では、SDBの重症度が高いほど総死亡率が高くなり、平均酸素飽和度の低値と酸素飽和度90%未満の睡眠時間の割合が独立した生命予後の規定因子となると報告されています。CKDの人に合併するSDBに対する治療では、CPAP(持続陽圧呼吸療法)治療が腎障害の進行を抑制する可能性があります。たとえば1カ月間のCPAP治療で尿蛋白が低下し、3カ月間以上のCPAP治療でCKDの人でGFRの改善効果が示されています。ステージG3〜G5のCKDの人では、1日4時間以上で70%以上のアドヒアランス良好なCPAPの使用でGFRの低下の抑制や蛋白尿の抑制効果が認められています。しかし他の研究ではCPAPを使用した人はCPAPを使用していない人とくらべ腎臓の予後改善につながらなかったとの報告があります。(研究上の問題点は指摘されてはいますが) したがって今後の長期的な腎臓の予後の検討や大規模な臨床研究による結果の蓄積が待たれるところです。一方CKDの治療によりSDBが改善するかどうかに関しては、ESKDの人で夜間の透析療法や腎臓の移植によるSDBの改善効果が示唆されています。
以上今回はCKDとSDBの関係について記載しました。