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お知らせ
慢性腎臓病 飲水量増加の是非
飲水は日常で欠かすことのできない行為です。飲水量を増やすことは尿路結石再発予防になり、腎機能悪化の抑制効果が期待されます。一方過度な飲水は頻尿など下部尿路症状の悪化や、血液中のナトリウムの減少など副作用リスクも懸念されます。慢性腎臓病(CKD)の人は、自身の最適な飲水量を知ることは切実な問題です。そこで今回は保存期(末期ではない)のCKDの人に対して、意図的に飲水量を増やすことの是非について、それによる全死亡、末期腎不全、eGFR(推算糸球体濾過量)の低下速度、 心血管疾患(CVD)、低ナトリウム血症の発症、がどうなるかという観点から検討した研究について解説します。
全死亡と飲水の関連の研究では1年間飲水量を通常より1〜1.5L/日 増やした人はそうでない人とくらべ全死亡の低下は認められなかったとされています。また意図的に飲水量を長期間増やし続けることは困難であることもこの研究では示しています。末期腎不全と飲水量の関係をみた研究では、水分摂取が1〜1.5L/日の人にくらべ、2L/日以上の人では末期腎不全のリスクは上昇(1.55倍)し、飲水量が1L/日より少ない人でも末期腎不全のリスクは上昇(1.59倍)し、飲水量と腎不全のリスクはU字型を示しています。eGFRの低下速度(腎臓の機能の低下速度)と飲水量の関係をみた研究では、飲水量を通常より1~1.5L/日増やしても、増やした人のeGFRの低下速度は抑制しませんでした。(つまり腎臓の機能の低下速度は抑制しなかった)
CVDと飲水量の関係の研究では、総水分摂取量が多くてもCVDによる死亡のリスクは総水分摂取量の多くない人とくらべ差は認めませんでした。しかしこの研究ではCVDによる死亡のリスクが研究結果としてに示されており、CVD発症に関しては不明です。低ナトリウム血症と飲水量の関係についての研究では、飲水量の増加による低ナトリウム血症のリスクは認めていません。以上よりCKDの人で意図的に飲水量を増やしても、全死亡、eGFRの低下速度について有益性が得られないこと、また意図的な飲水で低ナトリウム血症は増えないことが示されました。CVDについては、意図的な飲水の有益性を示す結果は得られていません。意図的に飲水量を増やすことはCKDの人の負担となる可能性があり、また飲水量を増やす試験から実際にその継続が困難と予想されます。したがって、保存期のCKDの人では、通常よりも意図的に飲水量を増やすことは行わないようにと提案がされています。CKDの人の適切な飲水量については明確な値は不明ですが、末期腎不全のリスクは飲水量が1〜1.5L/日で最も少なく、飲水量が1L/日未満ではそのリスクが上昇するとも示されており、飲水を制限することににも注意は必要です。
以上今回はCKDの人に対する飲水量の増加の是非について解説しました。
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