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お知らせ
睡眠時無呼吸 高血圧との関連・治療
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と高血圧はたがいに合併率が高く、またOSA自体が高血圧の成因となります。またOSAはもっとも頻度の高い二次性高血圧の原因であり、治療抵抗性高血圧を含むコントロール不良高血圧の原因疾患でもあります。一般住民を対象とした研究でも、年齢やBMI(体格指数)と独立してAHI(無呼吸低呼吸指数)の増加が、将来の高血圧の発症リスクになることが示されています。OSAの高血圧リスクとしてのインパクトは若年でより大きく、高齢者ではその影響は減少します。青年期の若年者を対象とした研究では、睡眠時間の短縮が2.5倍、睡眠効率の低下が3.5倍と高値血圧(130〜139/80〜89mmHg)のリスクとなっており、高血圧発症のリスクとして睡眠の質と量が重要であることがうかがえます。高血圧ならびに高値血圧の規定因子として肥満があり、その影響は若年層で大きいとされています。体重の増減とOSAの発症を検討した研究では、体重の10%増加(4年間で)が中等症〜重症OSAの発症リスクを6倍増加させ、減量によりその発症は抑制されています。したがって、より若年期から適正体重の維持に努めることが、OSAに関連した高血圧の発症の抑制につながると考えられます。OSAで発生する高血圧は神経原性高血圧をともいわれ、血圧の変動が著しい夜間高血圧(夜間血圧の平均が120/70mmHg以上)を特徴とします。
夜間高血圧や、夜間血圧下降が減少しているノンディッパー 型(夜間の血圧が昼間の覚醒時血圧の0〜10%しか下降しない)、逆に夜間血圧が上昇するライザー型では高血圧性臓器障害や将来の心不全や動脈硬化性心疾患の発症リスクが高いことが知られています。また睡眠時間の短縮と夜間高血圧は独立して心血管疾患のリスクとなります。これら夜間高血圧の発症病態には心不全、慢性腎臓病、糖尿病などがあり、これらはOSAの合併頻度が高い病態です。またOSAの無呼吸発作時には、著名な血圧上昇(睡眠サージ血圧 、20〜100mmHg以上上昇する)が発生し、この現象も夜間発症の心血管疾患の誘因になると考えられます。
OSAは治療抵抗性高血圧(以前のWebで説明)の原因になります。治療抵抗性高血圧の80%以上にAHI≧10のOSAがみられた、OSAが50歳未満の高血圧の人の血圧コントロール不良の独立した規定因子となるなどが報告されています。とくに降圧薬の就寝前服用など夜間・早朝高血圧に対する特異的な治療をされても、家庭血圧で測定した早朝血圧が持続して高値(135/85mmHg以上)を示す治療抵抗性高血圧の人はOSAが疑われます。さらに夜間尿、夜間呼吸困難、夜間発症の心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中、急性大動脈解離など)の既往のある人や、正常血圧にもかかわらず左室肥大などがある人でも、夜間血圧を含めた24時間血圧が正常レベルであってもOSAが疑われます。OSAに合併した高血圧の治療は、非薬物治療では、減量と運動がもっとも有効となります。
肥満と高血圧は密接な関係があり、OSA(閉塞性睡眠時無呼吸)の人は肥満のある人が多いからです。またアルコールと睡眠呼吸障害 (SDB)は高血圧の明確なリスク因子であるため、節酒が重要です。 喫煙する人は禁煙することです。
非薬物療法以外でも、中等症・重症OSAを合併する高血圧の人では、まずCPAP(持続的陽圧呼吸療法)による治療をおこないます。CPAPによる治療で多くの人で降圧効果が得られ、夜間の血圧サージは低下します。とくに血圧レベルの高い高血圧、未治療の高値、夜間高血圧、治療抵抗性高血圧などの特徴を有する人で、降圧効果が大きくなります。さらにBMI高値で重症のOSA(AHI≧30)の人ではCPAPによる降圧の効果は大きいとされています。ただしCPAP治療による降圧効果はCPAP使用の継続が良好に保たれることが必要です。これはCPA治療を 一晩4時間以上の使用の人が、4時間未満使用の人にくらべ、CPAP使用翌日の早朝家庭血圧が低下したことで示されています。また血圧の低下は冬期に顕著にみられることも示されています。服薬治療では、軽症・中等症OSAを合併したり、CPAPによる治療を希望しない中等症・重症OSAを合併する高血圧の人は、心血管疾患発症の高リスクな高血圧の人であり、服薬により厳格な24時間にわたる降圧が必要です。とくに夜間血圧を120/70mmHg未満に抑制しておくことが重要です。 OSAに対する内服薬の種類では、明確に有効と証明されたものはありません。しかしOSAの治療抵抗性高血圧の人では、血液中のアルドステロンが増加しており、アルドステロン拮抗薬であるスピロノラクトンがOSAの重症度と血圧を有意に低下させたと報告がされています。
また OSAで肥満を合併している人では、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系抑制薬が有用で、心不全を合併するOSA の高血圧の人では利尿薬の服用が有用と考えられます。
上記以外の治療では口腔内装置(OA)の使用がOSAの高血圧の人に対して有効とした報告もあります。
それ以外の治療法は使用される頻度が少なく、省略します。
以上 今回は睡眠時無呼吸症(特に閉塞性)と高血圧との関連について記載しました。
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