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2型糖尿病発症  アルコール、嗜好飲料、喫煙、睡眠の関与

飲酒量と糖尿病の発症リスクとの間にJ字型の関係が認められ、適量範囲内の飲酒をする人では、非飲酒者よりも発症のリスクが低いことが多くの研究で示されてきました。しかしアジア人ではJ字型の関連がないとする研究はあります。わが国では、やせ型の男性(BMI22以下)の中等量以上の飲酒習慣や1回あたりの量が多い飲酒習慣の人では、2型糖尿病の発症リスクを上昇させると報告されています。心血管病、多くの癌などの発症リスクにもJ字型の関係は認められず、少量の飲酒であっても控えるべきとされています。甘味糖類(砂糖、ブドウ糖、果糖など)を添加した甘いジュースは肥満と独立して2型糖尿病の発症リスクを増加させます。人工甘味料(甘味糖類に代えて食品に甘みをつける。サッカリン、スクラロース、アスパルテームなど)は、近年の研究で2型糖尿病の発症リスクを増やす可能性が指摘されており、疫学的にも人工甘味料はカロリーが極めて低いにもかかわらず、甘味糖類のジュースと同様に肥満と独立して発症リスクを増加させます。甘味糖類や人工甘味料添加のジュースはともに2型糖尿病のみならず、心血管病、癌や総死亡を上昇させることから、習慣的摂取は控えるべきです。果物はそのまま食べると2型糖尿病の発症リスクは少なくなりますが、ジュースで飲むと発症リスクが反対に増加することが示されています。また甘味糖類を加えたものと100%果汁のものを解析すると、甘味糖類を加えたものでのみ発症リスクの有意な上昇が認められます。嗜好飲料では、コーヒーの摂取と2型糖尿病の発症リスクの間には、負の量反応関係があります。ココア製品もリスクを減少させます。お茶(緑茶を含む)や水の摂取も、摂取量の増加に従い発症リスクを減少させます。つぎに喫煙との関連をみてみると、喫煙は2型糖尿病発症の独立した危険因子であることは確立しています。2型糖尿病に対する喫煙の影響は、人種、年齢、性別、肥満の有無で違いはなく、日本人を対象とした研究でも、喫煙は発症リスクを約1.38倍に上昇させます。喫煙量と2型糖尿病発症リスクを非喫煙者と比べた場合、1日の喫煙本数が10本未満で21%、10〜19本で34%、20本以上で57%増加させます。また喫煙は、開始年齢が若く、喫煙期間が長いほど、発症リスクが増加します。肥満者においては発症リスクはより増加するとされています。受動喫煙(職場環境、家庭などの)も2型糖尿病の発症リスクを高めます。禁煙により、一時的(5年以内)に2型糖尿病の発症リスクは(喫煙者とくらべ)高くなりますが、長期的(禁煙後10年以降)には発症リスクは喫煙者とくらべ減少します。つまり喫煙を続けた場合とくらべ、禁煙は長期的には発症リスクを低下させます。睡眠に関しては、睡眠時間と2型糖尿病発症リスクとの間にはU字型の関係が認められ、睡眠時間が7〜8時間で発症リスクが最も低く、短時間睡眠(7時間/日を基準として1時間減少するごとに1.09倍発症リスクが増加)と長時間睡眠(1時間ごとに1.14倍の発症リスクが増加)ではともに発症リスクは増加します。昼寝は1日1時間以上(発症リスク1.31倍)になると発症リスクは上昇します。睡眠障害のなかで不眠症(入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害)は2型糖尿病の発症リスクを上昇させます(これは肥満と独立しているとの報告があるが)。いびきや睡眠時無呼吸(2.15倍の発症リスク)の存在も発症リスク増加と関連します。就寝時間で20時〜23時の人とくらべ、午前1時〜6時の人では2型糖尿病の発症リスクは高くなります。交替制勤務で主に夜勤で働く人は日中のみ勤務する人とくらべ、発症リスクは上昇しますが、常時夜勤の人では発症リスクの増加は認められていません。
以上今回は2型糖尿病発症とアルコールや嗜好飲料、喫煙、禁煙、睡眠との関係について記載しました。