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心不全と高尿酸血症

高尿酸血症は、血清尿酸値が7.0mg/dLを超える状態と定義されます。わが国の慢性心不全患者さんの56%に高尿酸血症が認められ、心臓機能の低下した心不全(HFrEF)、心臓機能の保たれた心不全(HFpEF)ともに心不全の生命予後不良因子です。特に心不全の人では、血清尿酸値9.5mg/dL以上は生命予後不良のマーカーとなりうると報告されています。高尿酸血症が心不全を悪化させるメカニズムは、尿酸の産生過程の最終段階に関与する酵素であるキサンチンオキシダーゼ(XO)の活性に伴う過剰な酸化ストレスの産生や尿酸が血管の内皮の機能を障害することによるものと考えれています。心不全ではXO活性が亢進し、尿酸の産生が過剰となります。また心不全では腎臓の血流量の低下などにより、尿酸の排泄機能の低下がおこり、薬(利尿薬など)の使用により尿酸の排泄が障害されることなどにより、血清尿酸値は高くなります。この高尿酸血症に対して、尿酸を低下させる治療の心不全に対する効果を検討した研究では、現時点では治療により心不全の生命予後が改善する明確な効果は明らかになっていません。尿酸生成抑制薬を使用して血清尿酸値を低下させても、心不全の人の心血管疾患による入院や生死亡を改善させないことが報告されています。
一方、心不全の人に合併することが多い慢性腎臓病の人では、尿酸生成抑制薬の服用で血清尿酸値が低下すると、腎臓機能の悪化が抑制されることが多数の研究で報告されています。したがってわが国では腎臓機能悪化の抑制目的で血清尿酸値を低下させることが提案されています。それは高尿酸血症の人では食事などの生活療法を行った上で以下の場合に血清尿酸値6.0mg/dL以下を目標に薬物療法の使用が提唱されています。@痛風関節炎の即応のある人A症状がなくても血清尿酸値が8.0mg/dL以上で高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、慢性腎臓病などの合併症がある人B症状・合併症がなくても血清尿酸値が9.0mg/dL以上の人。しかし心不全の人では、生命予後の改善、心血管疾患発症の抑制を目的とした高尿酸血症の治療は推奨されていません。また心不全で高尿酸血症の人の尿酸の管理目標値に関しては、現時点では血清尿酸値が6.0mg/dL以下が妥当とされています。(腎臓機能の低下、痛風発症予防の目的で)}
したがって高尿酸血症は心不全の人の生命予後の不良因子であるが、高尿酸血症に対する治療を行っても心不全の人の生命予後の改善は現時点では明らかではないなど、高尿酸血症と心不全に関しては多数の課題が山積しており、今後のさらなる研究が望まれるものです。