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不整脈原性右室心筋症(ARVC)/不整脈原性心筋症(ACM)、不整脈原性左室心筋症(ALVC)

ARVCは、右心室を中心に脂肪変性・線維化が進行することを特徴とします。右心室起源の不整脈を生じ突然死の原因となる疾患として以前から報告され、その有病率は1000〜5000人に1人とされています。遺伝性の心筋疾患として位置づけられており、病変が右心室のみならず両心室あるいは左心室に単独に認められる場合もあり、大きな枠組としてACMともよばれています。ARVC/ACMは心室の構造的変化が軽度もしくは、明らかな心臓の機能低下がない時期から不整脈を発症し突然死をきたしうるため、生命予後の観点からも早期診断が重要となります。治療に際しては、心臓内への植込み型除細動器(ICD)の適応も考慮する必要があり、その診断は重要です。ARVC/ACMの診断は@全体あるいは局所の心臓の機能障害と構造変化の診断A右心室壁の組織学的な診断B心電図による診断C不整脈からの診断D家族歴の診断の包括的な評価から行われます。@は心臓エコー、心臓MRIで評価されます。Aは心臓筋肉の生検もしくは外科手術の際に採取した心臓筋肉標本での評価でなされます。BはARVC/ACMに特徴的な所見が認められることがあり、その他強く疑われる所見より評価されます。Cは持続性あるいは非持続性の心室のある部位を起源とする心室頻拍で強く疑われ、また24時間心電図(ホルター心電図)で24時間で500回以上の心室起外収縮が認められる場合は診断に有用な所見の1つとなります。またARVC/ACMにおける不整脈の出現は大きく生命予後に影響するため、確定診断に至らない場合においても定期的にホルター心電図の不整脈評価は重要です。DはARVC/ACMと診断された第1度近親者がいる場合、死体の部検や外科手術の際に病理学的にARVC/ACMと診断された第1度近親者がいる場合、またはARVC/ACMかを評価されている人において、その関連する遺伝子変位の所見が認めれれた場合はARVC/ACMが強く疑われます。
ARVC/ACMと運動との関連は強く、ARVC/ACMはアスリートに多いことが知られています。また運動の強度に応じてARVC/ACMが進行することが示されてます。青年期にARVC/ACMと診断された人は、成人期に診断された人とくらべて、持久力が必要なスポーツ競技(マラソンやクロスカントリーなど)の経験者が多いことも示されています。したがって運動歴の詳細は非常に重要となります。ARVC/ACMにおけるカテコールアミンの増加は心室性不整脈の誘発に重大な影響を及ぼし、運動は心臓突然死のリスクを増加させることから競技スポーツや強度の高いレクリエーション活動は高度に制限する必要があります。
ARVC/ACMについて概説してきましたが、一方でARVC/ACMの診断基準を満たさず、左心室起源の心室性不整脈や左心室の構造変化が認められ、ARVC/ACMに関連する遺伝子変異が確認された場合には、ALVCと診断されます。またARVC/ACMを診断された人に、左心室の心筋の障害や左心室起源の心室性不整脈が認めれる両心室型もあり、この疾患群は多様な臨床像を示します。したがって遺伝学的検査と合わせて総合的に判断する必要があります。
ARVC/ACMと形態学的に類似する疾患として、アスリート心臓、肺高血圧症などがあり、左心室優位に病変が認められる疾患では、拡張型心筋症、心臓サルコイドーシス、心筋炎などがあり、それらの疾患と鑑別する必要があります。以上、今回はARVC/ACM、ALVCについて主にその診断を中心に概説しました。記載内容が少々難解と感じられたかもしれませんが、知っておかれるべき疾患群と考えます。