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お知らせ
気管支喘息の治療目標 治療・治療薬の減量
気管支喘息の治療(管理)目標は、症状のコントロールと将来のリスク回避に集約されます。症状のコントロールでは、気道の炎症の原因となる危険因子を回避・除去して、適切な薬物治療により気道の炎症の抑制と十分な気管支拡張(すなわち呼吸機能を良好に保つ)を達成し、喘息の人が健常人と変わらない日常生活が送れること目標とします。その結果喘息死の回避、急性増悪の予防、呼吸機能の経年的な低下の抑制、健康寿命の延長といった将来のリスクの回避が可能になると考えられます。また治療は長期にわたるため、吸入薬の良好な吸入や治療薬による副作用(経口ステロイド薬の長期間の使用による骨折、高血圧症、肥満症、糖尿病、消化性潰瘍などや経年的な呼吸機能障害の進行)の発現には十分に注意することが重要です。
喘息のコントロールは、以下の状態で判断します。
| 喘息症状 | コントロール 良好 (すべての 項目が該当) |
コントロール 不十分 (いずれかの 項目が該当) |
コントロール 不良 |
|---|---|---|---|
| 喘息症状 (日中および夜間) |
なし | 週1回以上 | コントロール不十分の項目が3つ以上当てはまる |
| 増悪治療薬の 使用 |
なし | 週1回以上 | |
| 運動を含む 活動制限 |
なし | あり | |
| 呼吸機能 | 自己最良値の80%以上 | 自己最良値の80%未満 | |
| 喘息 (予定外受診・ 入院・救急受診) |
なし | 年に1回以上 | 月に1回以上 |
この喘息のコントロールの中心的な役割をになっているのが、喘息の薬剤による治療です。しかし、原因となっている喘息発作を引き起こす物質(アレルゲン)の回避(家ダニ、真菌類、昆虫類、動物、花粉など)は重要であり、とくにアトピー型喘息の人では十分に行う必要があります。また、喫煙や受動喫煙、過労などを含めた増悪因子の回避、除去も重要です。さらに良好な薬剤の吸入そしてその吸入を中断せず行うこと、アレルギー性鼻炎、肥満、胃食道逆流症、COPDなどの合併疾患の良好な管理も必要です。喘息のコントロールの中心となる治療は4つのステップがあります。すなわち軽症間欠型(治療ステップ1)、軽症持続型(治療ステップ2)、中等症持続型(治療ステップ3)、重症持続型(治療ステップ4)と分類され、下記のような目安となります。
| 治療ステップ1 | 治療ステップ2 | 治療ステップ3 | 治療ステップ4 |
|---|---|---|---|
| 症状が週1回未満 | 症状が週1回以上しかし毎日ではない | 症状が毎日ある | |
| 症状は軽度に短い | 症状が月1回以上、日常生活や睡眠が妨げられる | 短時間作用気管支拡張薬の吸入がほぼ毎日必要 | 増悪症状が毎日ある |
| 夜間症状は月2回未満 | 夜間症状は月2回以上 | 夜間症状は週1回以上 | 夜間症状がしばしばで睡眠が妨げられる |
| 日常生活は可能 | 日常生活は可能だが一部制限される | 日常生活は可能だが多く制限される | 日常生活は困難である |
喘息治療は上記ステップにもとづいて薬剤の種類の選択使用・追加などが行われます。(詳細は略) そして上記治療により喘息のコントロール良好な状態が3〜6か月持続され、かつ原則として呼吸機能が安定している場合には、コントロール状態が低下しない範囲内で治療の程度を下げること(治療のステップダウン)を試みることができます。
上記の目的は、最小限の薬剤で有効な治療法を喘息の人に見出すことです。そしてこれにより症状や増悪を良好にコントロールするとともに治療費や副作用の可能性を最小化することが可能となり、さらに喘息の人が治療を自己中断せず、治療を継続する動機付けにつながることが期待できるのです。治療の程度を下げる具体的方法や時期は、喘息の人ごとの治療内容、増悪因子の種類などで異なりますが、現実的な方法としては、症状や増悪(軽度のものも含めて)を注意深く観察しながら、それらに影響がない範囲内で段階的に治療薬の減量をこころみることになります。それは以下の方法となります。過去12か月の喘息増悪歴や救急受診歴、呼吸機能(喘息悪化時に低下する1秒量の低値)の低下、などは治療のステップダウン後の増悪リスクと関連している。ステップダウンの時期としては、ウイルス感染後、アレルギー性鼻炎の悪化時、旅行前、妊娠期などは避けたほうがよい。長時間作用型の気管支拡張薬(LABA)を吸入している人は、その中止は症状の悪化を招く可能性がある。3か月間隔で吸入ステロイド薬(ICS)の量を20〜50%程度減量することは多くの喘息の人で比較的安全に実施可能である。ICSの安全な中止は増悪のリスク上昇と関連している。そしてこれらを参考にしてステップダウンが安全に施行でき、喘息のコントロール良好な状態を保つことができれば、上記に記したような喘息の人の治療の継続にたいするモチベーションとなりえ、そして経年的には健常人とかわらない日常生活が送れることが可能となりえます。気管支喘息の管理の目標が達成されることとなるのです。
以上今回は喘息の治療(管理)目標、それに関わることについて概説しました。
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