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お知らせ
上室期外収縮・心室期外収縮
上室期外収縮は心房や心房と心室の接合部(房室接合部)などから発生する期外収縮(不整脈)です。健常人でも9割以上に上室期外収縮を認めますが、多くは100拍/日以下であり、100拍/日程度までは正常と考えられます。カフェイン、アルコール、ストレス、疲労、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心臓弁膜症、心筋症などで増加することはありますが、症状や血行動態への影響は少なく、治療の対象となることはまれです。しかし器質的心疾患のない人でも100拍/日以上の上室期外収縮は新規の心房細動の発症の予測因子となります。住民健診の心電図で上室期外収縮が記録された人は、心房細動と心臓血管死が有意に多く、また上室期外収縮が脳卒中、全死亡、心血管病、冠動脈疾患と関連することを指摘した報告があります。しかしこれらの発生率は低く、上室期外収縮そのものの治療を勧める根拠とはなっていません。脳梗塞は原因により心原性脳塞栓、ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞などに分類されます。しかし全体の20〜30%は原因疾患が明らかでなく、それらを潜因性脳梗塞とよびます。そしてその大部分が塞栓性と考えられ、塞栓源不明の脳塞栓症(ESUS)といいます。このESUSを既往した人では上室期外収縮は意義を持ちます。それはESUSを既往した人で、ホルター心電図で上室期外収縮が多い人では、その後の長時間心電図モニターで新規の心房細動の発見率が高く、上室期外収縮が1000拍/日以上でおおよそ40%の人に新規の心房細動が発見されているからです。このことは脳梗塞後の抗凝固療法の適応の判断となります。上室期外収縮は通常治療の必要はありませんが、生活の質(QOL)を損うときは治療も考慮されます。上室期外収縮はリスクが小さいため、カフェインやアルコール摂取の制限などのライフスタイルの変化をまずはおこなっていただきますが、ときには薬物療法としてβ遮断薬の服用が勧められます(症状のある上室期外収縮の人に対して)。抗不整脈薬も使用されることもありますが、多くはなく積極的推奨はされません。
つぎに心室期外収縮について記載します。心室期外収縮は自覚症状が軽微であるなら、生活習慣の改善や軽い精神安定剤の服薬のみで経過をみていただくことが多いです。しかし心室期外収縮が重篤な不整脈のトリガーとなることがあり、心室頻拍への移行や心臓突然死の可能性を除外するために、器質的な心疾患、心臓の機能不整脈の出現様式、遺伝性の不整脈の家族歴などが評価されます。心室期外収縮のリスクの分類では、単形性(同じ心電図波形)の心室期外収縮の頻度が1時間に30回以上、多形性(異なる波形をした2つ以上のもの)心室期外収縮、3連発(心室期外収縮が続けて3回以上起こること)以上などの出現は重篤な不整脈のリスクとなります。また運動負荷時や終了後のリカバリー時の心室期外収縮を認める人では、心室期外収縮(頻脈)誘発性心筋症のリスクがあります。器質的心疾患を伴わない心室期外収縮は一般に生命予後はよく、自覚症状が軽微であれば抗不整脈薬の投与は行われません。自覚症状があり、心室期外収縮の頻度が多く、多源(形)性の場合にはβ遮断薬、Ca拮抗薬服用による治療も考慮されますが、効果は限定的とされています。抗不整脈薬の服用は効果と副作用を考慮されるべきとされています。器質的心疾患に伴う心室期外収縮は、不整脈による自覚症状の多い人や心室期外収縮の多い(総心拍数の10%以上)の人では治療は考慮されます。心室期外収縮の多い人では、期外収縮の減少により心機能の改善が認められることがあり、β遮断薬やある種の抗不整脈薬の内服をしていただきます。よく認められる虚血性心疾患では急性冠症候群(特に心筋梗塞)発症時には、心室性不整脈予防のためにβ遮断薬の服用が勧められます。心室期外収縮が多発したり連発する場合は心室細動の出現に先行している場合があり、ある種の抗不整脈薬の内服が必要となることがあります。心筋梗塞亜急性期、慢性期にはときに抗不整脈薬の服用が求められることはあります。心臓の機能の低下した人では、心不全に対する標準治療が行われます。多発する心室期外収縮は高リスクであり、β遮断薬などの内服をしていただき、それによって、心室期外収縮の多い心不全の人で心臓の機能が回復したとの報告があります。以上今回は上室期外収縮、心室期外収縮に対して記載しました。
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