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お知らせ
がん 高血圧との関係・治療・管理
高血圧は担がん(がんを患っている人)患者さんにおいてもっとも多い合併症の1つであり、がん治療の心血管毒性のなかで心不全、血栓症と並び高率に出現します。高血圧とがんの発症は双方向の関係を有し、両者には加齢、喫煙、運動不足、肥満、糖尿病などの共通の危険因子を認め、血管内皮の障害、酸化ストレス、炎症状態などの発症原因を共有しています。さらに腎細胞がんや大腸がんの発症には高血圧との有意な関係が報告されています。
多くのがん治療で、がん治療関連高血圧が認められます。したがってがん治療の内容などを考慮し、発症早期より降圧が行われます。特に血管新生阻害薬は微小血管の障害、動脈硬化性変化、腎臓に対する毒性が薬の用量依存性に出現するため、投薬開始直後から血圧上昇や蛋白尿を認めます。さらに長期の投与により、心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈閉塞症などの重篤な疾患を併発し得ます。その他、多くの抗がん剤やホルモン療法、放射線治療などで血圧の上昇が報告されています。
適切な血圧の管理は、がん患者さんにおいても高血圧緊急症の回避や脳心血管病発症予防および最適ながん治療の継続という観点からも重要です。したがってがん治療開始前に心血管疾患の発症リスクを評価し、それにより高血圧の発症を予測し、がん治療方法を医師とともに検討されることが重要となります。がん治療開始後の血圧のモニタリングは家庭内血圧測定や24時間血圧で行います。降圧治療を開始する血圧値や降圧目標は、がん患者さんの状態などによって異なります。一般的には診察室血圧140/90mmHg以上で降圧治療は開始されますが、動脈硬化性疾患、慢性腎臓病、糖尿病などを併発されている場合は130/80mmHgよりの降圧が考慮されます。しかし180/110mmHg以上または高血圧緊急症を呈された場合は、がん治療の中断や変更が検討されます。
降圧薬は、基本的には高リスクなT度高血圧およびU度・V度(以前のWebで説明)の高血圧に対する降圧薬が使用されます。この場合、がん患者さん特有の廃用性機能障害・栄養障害や疼痛、不安など全身状態に伴う血圧変動が留意され、患者さんの意思を尊重した対応がとられ、また薬物相互作用や過度の降圧にも注意がされます。抗がん剤による治療終了後に血圧低下を認める人がいます。
一方で小児やAYA世代のがんサバイバーを中心に晩期合併症として内分泌障害や心血管に対する毒性により高血圧を呈する人がいます。がん治療終了後は130/80mmHgを目標に生命予後を考慮した血圧管理が必要です。がんサバイバーの血圧管理は長期間の管理が必要なことが多く、そのため腫瘍科医師、循環器内科医師、薬剤師など多職種との連携ががんサバイバーにとって必要かつ重要となります。
以上、今回はがんと高血圧の関係、高血圧の治療・管理(腫瘍高血圧等)について記載しました。
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