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レムナントリポ蛋白&食後高脂血症

レムナントリポ蛋白とは、血液中のリポ蛋白(中性脂肪やコレステロールがたんぱく質と結びついた複合体)が分解されて生じる中性脂肪に富んだ脂質の粒子です。レムナントリポ蛋白が高い場合には、心筋梗塞をおこした人の再度の心血管疾患の発症リスクが高く、LDLコレステロール(LDL-C)が100mg/dl未満に良好にコントロールされている人の場合においても、独立した心血管疾患の発症のリスクであることが確認されています。

冠動脈の血行の再建(冠動脈インターベンション)が施行された急性冠症候群(ACS)で、その後スタチン(抗脂血症改善薬)を服用している人のACSの再発リスクの評価や、2型糖尿病と慢性腎臓病(CKD)を合併した人の動脈硬化性心血管障害(ASCVD)一次・二次予防の発症リスクの評価に、レムナントリポ蛋白の測定の有用性が認められています。

また、高レムナントリポ蛋白血症はスタチンでLDL-Cが70mg/dl未満までコントロールされている冠動脈疾患の人の心血管疾患発症に対する残ったリスクとして部分的に説明できます。すなわち、レムナントリポ蛋白の高値は高LDL-C血症と独立して、LDL-Cと概ね同等にASCVDのリスクに寄与すると考えられるのです。このことはLDL-Cおよびレムナントコレステロールの濃度が約39mg/dl上昇することにより、心筋梗塞発症のリスクがLDL-Cで1.3倍、2.1倍、レムナントコレステロールで1.4倍、1.7倍上昇するということが大規模な2件の研究結果で示されています。

また過体重・肥満で心血管疾患発症のハイリスクな人を対象とした、その一次予防の研究ではLDL-C濃度の高低にかかわらず、レムナントコレステロール濃度の高値はASCVDの有意な危険因子となっています。上記のレムナントリポ蛋白の研究はわが国では直接測定法での算出ですが、欧米ではTC(総コレステロール)−LDL-C−HDL-Cでの算出に基づいています。

レムナントリポ蛋白がこのように動脈硬化惹起性であることが提唱されて以来、ASCVDリスクを考える上で食後高脂血症(レムナントリポ蛋白は食後増加する)の意義が確立されてきました。わが国の疫学研究では、随時のトリグリセライド(TG)の高値による冠動脈疾患(CAD)の発症リスクの上昇が認められ、TGが約90mg/dl(1m mol/L)上昇することにより、全体でCAD発症の相対リスクが1.34倍、男性では1,29倍、女性では1.42倍とリスクが増大しています。随時のTGが115mg/dl以上から発症リスクは上昇し、167mg/dl以上では発症リスクは3倍以上となり、HDL-Cで補正しても同様な結果でした。また随時のTGは空腹時のTGと同等かそれ以上にCAD発症のリスクの評価に有用であり、随時TGの値が200mg/dl以上でCAD発症がハイリスクとなりました。

大規模な研究では、食後の高脂血症として随時のTGが175mg/dlより高値で心筋梗塞のリスクが約2倍以上になるとされています。米国では175mg/dl以上の高TG血症が持続する状態はASCVDのリスクの増強因子であるとされており、欧州では随時のTGが175mg/dl以上が脂質異常症とされています。わが国においても、空腹時のTGが150mg/dl以上とともに、随時のTGが175mg/dl以上であることを、脂質異常症を判断する診断基準として設定しています。

以上、今回はLDL-C以外の動脈硬化惹起性のレムナントリポ蛋白、TG(特に食後)に関して記載しました。LDL-Cが良好にコントロールされていても、ASCVD発症の残った(残余)リスクとなります。ご留意下さい。