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気管支喘息・COPD 高血圧との関連・その治療

気管支喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)はともに閉塞性換気障害を示す慢性の炎症性気道疾患です。喘息は「気道の慢性炎症を本態とし、変動性をもった気道狭窄による喘鳴、呼吸困難、胸苦しさや咳などの臨床症状で特徴づけられる疾患」であり、主にアレルギー性気道炎症が関与します。一方COPDは「タバコを主とする有害物質を長期に吸入曝露することなどによって生じる肺疾患であり、呼吸機能検査では気流の閉塞を示す」徐々に進行する慢性炎症性肺疾患です。

この慢性炎症はそれを基盤とした両疾患の高血圧との関連が示唆されています。COPDの人のもっとも多い併存疾患は高血圧であり、また長期の喫煙歴のために冠動脈疾患や末梢動脈疾患を合併していることが多く、血圧のコントロールはより重要です。食塩が気道の過敏性に影響を与えるかどうかは不明ですが、高血圧の人に推奨される食塩制限が気管支喘息やCOPDに悪影響を与えることはありません。有酸素運動は気管支喘息やCOPDの人もともに推奨されますが、運動誘発性気管支喘息の人では、運動前に前処置などを行うなどの注意は必要です。

気管支喘息やCOPDの人が高血圧を合併した場合には、服用する降圧薬に対応が異なる場合があり、以下にこれを記載します。

気管支喘息 気管支平滑筋を弛緩させる降圧薬であるカルシウム拮抗薬は、同時に気管支の収縮反応を緩和するため、気管支喘息を合併した高血圧の人に推奨されます。ACE阻害薬という作用機序の降圧薬は咳が出る副作用があり、それが生じた場合、気管支喘息の増悪との鑑別が困難となり、また一部の喘息の人では喘息の治療が不良となることがあり、その服用は禁忌ではありませんが、推奨はされていません。
同様な作用機序をもつARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)に属する降圧薬は咳の副作用はなく、気道の過敏性を減少させる可能性があり、気管支喘息を合併した高血圧の人はその服用に問題はなく推奨される降圧薬です。
β遮断薬に属する降圧薬には、ほぼ心臓に選択的に作用するものと、心臓と気管支の両方に作用し、特に気管支に対してはその気道の抵抗を増加させる作用のものがあります(前者をβ1受容体選択性β遮断薬、後者をβ1、β2受容体遮断薬(非選択性β遮断薬ともいう)。したがって非選択性β遮断薬の服用は気道の抵抗を増加させるため気管支喘息の人では、その服用は禁忌となります。
β1受容体選択性β遮断薬は、心不全や不整脈があり、その服用をしていただく必要が強い場合には、症状を慎重に観察していただき、出現がないことを確認しながら服薬していただくことになります(特に呼吸器症状が出現しないかどうか)。降圧利尿薬は、特に呼吸器に対する影響はなく、服薬は可能です。
COPD カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、ARBおよび降圧利尿薬はCOPDの増悪などを増加させたという報告等はなく、通常の服用は可能です。
降圧利尿薬は服用による利尿により、血液中の電解質、特にカリウムを低下させることが時にあり(気管支喘息の人が服用した場合も同様)、服用においては症状の留意が必要です(血液中のカリウムの低下の症状は、やや低下が進行すると筋力の低下、脱力感、こむら返りなどがあり、進行が強いと不整脈(心室細動)の出現により、命にかかわることがある)。
β遮断薬は冠動脈疾患や心不全を合併したCOPDの人において安全に服用でき、また生命予後を改善したとの報告があります。したがって同機序に属する降圧薬の服用は、β1選択性β遮断薬の服用が推奨されます。

以上、今回は気管支喘息、COPDと高血圧との関連ならびにそれらの疾患に罹患されている人が降圧薬を服用される場合の留意事項(推奨、注意)に関して記載しました。