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お知らせ
失神
突然発症する意識消失発作で、短時間で自然回復する一過性のものを一過性意識消失発作と定義します。一過性意識消失発作には、失神やてんかん、心因性などの原因疾患が含まれます。
失神と非失神を見分ける場合、意識消失時の状況、今までの詳細な病歴・身体所見、さらには心電図の所見などが必要となります。たとえば身体所見では、失神やてんかんでは、発作時に開眼していることが多いのに対し、心因性の発作では閉眼していることが多く認められます。発作の持続時間に関しては、失神は1分以内と短いのに対し、非失神ではやや長いです。意識消失後に意識もうろう状態が続く場合には、失神以外の原因疾患も考慮します。動悸症状に引き続いて短時間の意識消失をきたし、顔面そう白を認める場合には失神を疑います。
失神とは、「一過性の意識消失発作をきたし、体位の維持ができなくなるもの」と定義され、その原因から反射性失神、起立性低血圧、心原性失神の3つに分けられます。病態は一過性の全般性の脳の虚血です。
反射性失神は血管迷走神経性失神、頸動脈洞失神、状況失神、てんかん性失神に分類されます。血管迷走神経性失神は健常人に発生する失神で、長時間の立位あるいは座位の状態で、不眠、疲労、恐怖などの精神的・肉体的ストレス、人混みや閉鎖空間などの環境要因が誘因となり、嘔気、冷汗、頭痛、眼前暗黒感、腹痛などの前駆症状を伴い、若年者に発症する傾向があります。血管迷走神経性失神は心抑制型・血管抑制型・両者を伴う混合型に分類されますが、心抑制型では心停止時間が長く十数秒に及ぶことも珍しくなく、けいれん様の反応を伴い、てんかんと誤診断されることがあります。
反射性失神の多くは血管迷走神経性失神が占め、頸動脈洞失神と状況失神の割合は小さいです。ちなみに状況失神は失神が特異的な要因(咳嗽、排尿、排便、嚥下、食後、運動後)時、あるいはその直後に発生します(咳失神、排尿失神、排便失神などと呼称される)。
てんかん性失神は側頭葉てんかんによる複雑部分発作です。その病態はてんかん刺激により迷走神経の反射が誘発され、徐脈や心停止が生じ、二次的に失神を合併することです。てんかん発作で引き起こされた心停止により脳血流が停止することで、てんかん発作自体も停止することから、一種の生体防御反応とも考えられています。典型的なてんかん性失神では、一過性の心拍数上昇に引き続く洞徐脈から洞停止(心停止)へと進行し、心停止時間は比較的長く10秒以上もまれではありません。
起立性低血圧は立位時に失神し、起立直後に有意な血圧低下(収縮期血圧20mmHg以上または拡張期血圧10mmHg以上の低下)を認める場合に、起立性低血圧による失神と診断されます。起立性低血圧には薬物誘因性や自律神経の不全などが含まれます。
心原性失神は以下のようなリスク所見がある失神の場合に疑われます。
1. 重度の器質的な心臓疾患あるいは冠動脈疾患(心不全、心臓の左心室の収縮力の低下、心筋梗塞の既往など)
2. 不整脈性失神が示唆されるもの @労作中あるいは仰臥時の失神 A失神時の動悸 B心臓突然死の家族歴 C身体トレーニングのない人の不適切な洞徐脈(<50分)あるいは3秒以上の心停止 D以下は心電図所見となるため略
心原性失神が疑われた場合は、基礎となる心疾患の有無や心臓の機能などが精査されます(運動負荷による心電図、24時間あるいはそれ以上の長時間心電図などによる)。一方、高リスクな所見(心原性失神の)がなく、初回の発作あるいは発作頻度がきわめて少ない場合には経過観察でもよいとされます。
心原性失神には心停止時間が長く(発作性房室ブロック(説明は略)による)高い死亡率との関連を認めるものがあり、その場合ペースメーカーによる治療が検討されます。したがって、心原性失神は見落とさないように留意することが必要です。つまり上記の繰り返しになりますが、運動時や動悸あるいは胸部症状が先行する場合、臥位での失神や突然死の家族歴のある場合、器質的な心疾患や心臓の機能の低下、あるいは失神が疑われる心電図の異常(不整脈)を指摘された場合などは心原性失神が疑われ、検査が必要となる事が多いということです。
以上、今回は失神に関して概説しました。
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