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お知らせ
POS症候群
Platypnea-orthodeoxia(POS)症候群は坐位・立位で呼吸困難と低酸素血症を呈し、臥位では軽快する特異な病態を呈する症候群です。POSの本態は、多くの場合卵円孔開存(PFO)や心房中隔欠損(ASD)(先天性心疾患)を介した右左短絡〔本来はおこらない心臓の右側(右心房・右心室)(静脈血)から左側(左心房・左心室)(動脈血)へ血液が流れる異常な経路〕です。発症の重要な機序は、下大静脈から心臓への血流が加齢や解剖学的な変形、体位変換(坐位)でPFOやASDの心房中隔の欠損孔(あるいはトンネル状の形態)へ選択的に流入することで生じます。
POSは主に高齢者に発症します。その背景は加齢に伴う以下の変化が関与します。
@大動脈の拡張・延長
A椎体の変形(圧迫骨折・亀背)
B横隔膜挙上や胸郭の変形
特に椎体骨折後や長期臥床後のリハビリ開始時に、坐位で急激な低酸素血症を呈することが典型的です。また肺切除後や整形外科手術後などを発症の契機とする人も多く、症状の出現までに数年を要する人も少なくありません。
POSの重要な特徴として、以下があります。
(a)坐位や立位での動脈血の酸素飽和度(SPO2)の低下
(b)臥位でSPO2の低下が改善する
(c)肺の疾患や心不全などでは説明困難な動脈血の低酸素血症
特に高齢な人がリハビリ後に座るとSPO2が低下する場合は、その人はPOSが強く疑われます。
POSの診断は体位の変換に伴う右左短絡の証明です。これには経胸壁心エコーである種の操作を行うこと(バブルスタディという。説明は略)が第1の診断方法となります。さらに経食道心エコーによるPFOやASDの形態、欠損孔(トンネル)の構造などを詳細に評価することも必要です。診断時の重要な点として、通常の安静臥位での検査では短絡が軽微で診断に至らない場合があるため、体位変換をPOSが疑われる人にはしていただくことです。
POSの治療は右心房と左心房との直接的な血流の交通の閉鎖です。近年では手術ではなく、経皮的なカテーテルを用いた治療が第一選択となっており、安全かつ低侵襲で施術可能です。カテーテルによる閉鎖を施行した人ではSPO2が平均81%から95%へと改善し、それらの人すべての症状も著明に改善したとの報告がされています。カテーテル治療のすぐれた点は、高齢な人であっても全身麻酔を必要としなく、局所麻酔下で施行可能であること、さらにSPO2の低下のため在宅酸素療法(HOT)を要していた人が、治療後速やかにHOTから離脱でき、生活の質(QOL)の劇的な改善が期待できたなどの点があります。
POSはまれな疾患と認識されていましたが、実際には診断されていない人が多い見逃されやすい疾患です。したがって特に以下のような人では必ずPOSを疑うべきです。
@高齢な人の原因不明な低酸素血症
A疾患に罹患後のリハビリ開始時に低酸素が増悪する人
B坐位でSPO2が低下する人
このような人はPOSの診断のための検査を行われることが重要です。
POSは冒頭で記載したように特異な病態です。しかしそれを疑い適切な診断・治療が行われれば、著明な改善が得られる可逆的疾患です。留意して下さい。特に坐位で低酸素血症を呈する方はその可能性を考慮して下さい。
以上、今回はPOSを概説しました。
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