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脳卒中 考慮すべき男女の差

脳卒中は世界で死因の第2位であると同時に、要介護状態となる原因疾患として重要です。わが国では死因の第4位であり、令和3年のデータでは、全死亡数の7.3%を占めます。また全脳卒中による死亡のうち、女性の占める割合は50.7%であり、男性の49.3%とほぼ拮抗しています。生涯を通しての脳卒中のリスクは世界的にみると、女性で25.1%、男性で24.7%と報告されています(東アジアでは男性40.6%、女性36.3%と世界的にもっとも高い水準となっている)。

脳卒中発症リスクの性差には年代ごとの特徴があります。若年の女性は男性に比して脳卒中の発症リスクが高く、中年期〜74歳以下の年齢層では、男性は女性に比して脳卒中発症のリスクは高いです。しかしそれより高齢になると脳卒中発症のリスクの差は小さくなるか、逆転します。

脳卒中の病型ごとの発症率にも性差があります。女性は頭蓋内動脈瘤の有病率・発症率が高く、くも膜下出血の発症率が男性より大幅に高く、男性は脳梗塞、脳出血の発症率が女性より高くなっています。脳卒中を発症した社会的背景をみると、女性は脳卒中発症時に、男性より寡婦、未婚、一人暮らしであることが多く、日常生活動作に大きな障害を抱えていることが多いです。

脳卒中の発症リスクは影響の強さに性差があります。たとえば、高血圧、喫煙、糖尿病、心房細動、肥満、前兆を伴う片頭痛などは男女共通の発症リスク因子ですが、女性により関連が強いとされています。また妊娠・出産以外の女性の特有のリスクとしては、経口避妊薬が若い女性で関連があるとされ、閉経に関連したホルモン補充療法は全脳卒中や虚血性脳卒中と関連があるとされています。

脳卒中症状の早期の発見は、治療に不可欠ですが、救急外来で脳卒中が見逃された人の割合は約9%であり、女性は男性より誤診のリスクが高いという報告があります。これは複数の研究で脳卒中の非典型的な症状が、男性よりも女性に多くみられることが多いためとされています。女性は頭痛、疲労、認知機能の変化、全身のけんたい感、脱力感、昏睡、尿失禁などの非局所的な症状を呈しやすく、このことが脳卒中の診断の遅れにつながる可能性があります。他方で、女性は男性に比べ、標準的な検査・治療を受ける機会が少ない可能性も報告されており、性差を考慮した診断が求められます。

脳梗塞急性期におこなわれる血管内治療のうちカテーテルで血栓を吸引する機械的血栓回収術は女性で多く施行されています。その理由は不明ですが、女性は心房細動の有病率が高く、脳大血管塞栓症の発症率も高く、それが機械的血栓回収術の高い施行率に影響しているのかもしれません。

脳卒中後の転帰は女性は男性より悪いことが示されています。死亡率、生活の質(QOL)、脳卒中後のうつ病、活動の制限などに関して女性は男性より不良です。これは、女性で脳卒中発症時の健康状態が男性より不良であり、また高齢、脳卒中後の重症度がより高いことも一因と考えられます。

以上、今回は脳卒中の性差に関して発症率、発症リスクやその臨床像、治療、転帰などに関して記載しました。