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お知らせ
下肢閉塞性動脈疾患 頸動脈狭窄・冠動脈疾患との関係
下肢閉塞性動脈疾患(LEAD)は脳梗塞などの原因となる頸動脈の狭窄性病変や冠動脈疾患(CAD)を併発していることを多く認めます。今回はこの事について記載します。その前に疾患の定義として、LEADは上記を表わし、上肢閉塞性動脈疾患はUEADと称します。そして末梢動脈疾患(PAD)は冠動脈以外の末梢動脈である四肢動脈、頸動脈、腹部内臓動脈、腎動脈、および大動脈の閉塞性疾患と定義します。
LEAD患者さんにおいては頸動脈狭窄の併存頻度は高く、過去におこなわれた解析では、LEAD患者さんの14%に70%を超す頸動脈の狭窄を認めたとか、19%のLEAD患者さんに50%を超す頸動脈狭窄を認めたなどの報告があります。また海外の研究ではLEAD患者さんの25%が心血管疾患(CVD)を有し、わが国からはPAD患者さんの21%がCVDを合併していたという報告があります。さらにこの海外の研究では、CVDの合併はLEAD患者さんではCAD患者さんの約2倍の頻度でしたが、CVDを一過性脳虚血発作と虚血性脳梗塞と定義しており、実際の臨床ではより高頻度に無症候性の頸動脈狭窄を合併していることが予想されます。
2領域以上にわたる動脈疾患を有する多領域動脈疾患の人は、単一の動脈疾患の人に比べて生命予後が悪いことが知られています。またLEAD患者さんにおける頸動脈狭窄の併存は、心血管疾患による生命予後の独立した危険因子であることが示されています。一方、LEAD患者さんにおける頸動脈狭窄の併存は罹患している下肢の予後に影響を与えることは示されていません。したがって上記に記したようにPAD患者さんは頸動脈狭窄の合併頻度が高いため、頸動脈超音波検査を施行されることが推奨されます。
次にCADに目を向けると、CAD患者さんは労作時胸痛や呼吸困難のため運動を制限されるので、LEADの下肢痛、間欠性跛行などの自覚症状は検出されにくいですが、13〜16%のCADの人にPADが合併することが報告されています。冠動脈の起始部の太い部分(左主幹部)や冠動脈の複数の部位に狭窄病変を有するCADの人はLEAD合併の独立した危険因子を有するとされています。LEADを合併したCAD患者さんではびまん性に動脈硬化が進展し、かつ複雑な冠動脈の病変を有することが多く、そのため生命予後が不良となることが報告されています。CAD患者さんではLEADの併存が2倍心血管疾患を増加させたとする報告もあります。冠動脈の狭窄をカテーテルで広げる経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行した患者さんがLEADを合併すると、2年間の心血管疾患の罹患率が有意に高率であったとのわが国からの報告があります。同様な報告が外科的な冠動脈手術(冠動脈バイパス術、CABG)でもあります。
外科的な手術による治療が必要なLEAD患者さんは、その50〜60%にCADの合併を認め、手術後30日以内に心血管合併症(心臓死、心筋梗塞)が5%生じるとされています。LEAD患者さんの3分の1にCADの既往または心筋虚血を疑わせる心電図変化を認め、3分の2の人で運動などの心臓に対する負荷検査で心筋虚血を思わせる変化を認めます。さらに70%の人に冠動脈の造影検査で少なくとも冠動脈の一本の枝(冠動脈は大きく分けて3本に分かれる)に有意な狭窄病変を認めます。他の報告でもLEAD患者さんに冠動脈のCTを施行すると約25%の人に無症候性だが有意な狭窄病変を認め、さらにPAD患者さんの57%にCADの合併を認めたとする報告もあります。
またLEAD重症度とCADの合併率には関連があり、包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)と呼称される重症なLEAD患者さんでは約90%にCADを認めています。LEAD患者さんの病変部の下肢の予後にCADの存在が関与しているかは明らかではありませんが、CADを合併するLEAD患者さんの死亡率は1.6%で、CADを合併しない患者さんの0.7%より高率であったとする報告があります。したがってLEAD患者さんに対する冠動脈CTなどのCADのスクリーニングは有効であると考えられ、特にCLTI患者さんではCADの合併率が高く、最適な治療管理などのためにCADスクリーニングは必要と考えられます。
以上、今回はLEADと頸動脈狭窄やCAD合併の頻度の多さや、併存による生命予後の重症性などについて記載しました。
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