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高血圧 降圧薬の服用時刻の調整とその有用性の有無

24時間自由行動下血圧(ABPM)や家庭血圧で評価した早朝高血圧や夜間高血圧は、心血管疾患発症と関連することが示されています。現在、医療機関で処方されている降圧薬はその持続時間が24時間持続しないことがしばしばあり、そのため家庭血圧測定やABPMで早朝や夜間の血圧が高い場合、朝に服用している降圧薬を晩に服用したり、朝・晩の2回に分けて服用したり、晩に降圧薬を追加して服用することで、早朝などの高い血圧を抑制できる可能性があります。したがって、従来の降圧薬の内服でコントロール不良な早朝や夜間高血圧を有する人は、それを是正するために晩に降圧薬の内服をすることがしばしばみかけられます。

大規模な研究の解析で、夜間の降圧薬の内服が心血管疾患発症のリスクを低減することが報告されました。しかしその後の検討で、一部の報告された試験は非常に報告にかたよりがあることが指摘されました。そのため2022年の国際高血圧学会(ISH)では、降圧薬の就寝前服用は一律に推奨すべきではないとされました。2023年のヨーロッパ高血圧学会においても、降圧薬の就寝前服用とする研究の質が懸念され、また就寝前の降圧薬の内服の遵守の低下についても言及があり、それらにより、多剤の併用服用の場合は患者さんの希望を考慮して就寝前の内服としてもよいとの見解になっています。

最近の研究の報告では、夜間降圧薬を内服する人と朝内服する人では、主要な心血管疾患発症などの結果には有意な差はみられなく、安全性にも差はありませんでした。スペインでおこなわれたABPMに関する研究のデータベースにおいても、死亡率や心血管死亡率は、朝降圧薬を服用する人と就寝前服用する人で有意な差はありませんでした。他の試験では、朝服薬する人と夜間服薬する人の24時間の平均収縮期血圧に有意な差はなく、夜間の収縮期血圧は夜間服用する人のほうが1.68mmHg低かったが、有意な差ではありませんでした。別の試験では一部の人が家庭血圧を測定しており、結果は夜間服薬する人の朝の収縮期血圧は1.77mmHg低く、一方で夜の収縮期血圧は1.06mmHg高くなっていました。

しかし実際の現場では、降圧薬の服用時刻の調整で目標とする時間帯の降圧の割合はこれらの研究より大きいことが予想され、これらの降圧に関する研究の結果がそのまま当てはまるものではないと考えられます。しかし降圧薬の服用時刻の調整は、血圧の早朝の急上昇をおさえたり、また夜間高血圧や腎疾患などにも有用な可能性があるとされています。

またレニン・アンジオテンシン系阻害薬の就寝前の服用による動脈硬化抑制作用が期待される報告や、さらに高血圧性臓器障害を改善したとの報告もあります。したがって降圧薬の服用時刻の調整は、高血圧の患者さんの合意があるならば、早朝高血圧や夜間高血圧に対するそれらの人の治療として考慮される方法となり得ます(結論づけはできませんが)。

以上、今回は高血圧の人の降圧薬の服用時刻の調整とその有用性の有無に関して記載しました。